◆今期の新作フレグランスの中で、モスキーノの『モスキーノ・ライトクラウズ(MOSCHINO Light Clouds)』、かわいいです。青空に雲のボトルね。
香りも、つかみどころのないモワモワ感、ふわふわっとしたエアリー感があって嫌味のない感じで、「新食感」という言葉が似合いそうな。
“モワモワつながり”といえば…
ドルチェ&ガッバーナ(D&G)の『ライトブルー』という香水もそんな雰囲気です。あれはとても売れましたが、あれよりもベースノート(最後に残る香り)が軽くて柔らかいです、今回のモスキーノ(ライトクラウズ)のほうが。
…D&Gのベースノートは、ふわふわと見せかけて、意外に頑固なんです。(笑) 香りに重量感があるので、取り巻くその空気を動かしがたい感触がある。四角い大きな箱を力いっぱい押して、ようやくゴゴゴッと動くような…
対して、モスキーノのほうは、吹けば飛ぶような綿毛級の軽さ。
この軽さが、人によっては「つけてもつけても香りがしない?!」という感覚におちいりがち、かもしれませんが、こういうものだと思えば、それで良いのではないでしょうか。(解決したようなしないような…?)
香りの強さは…この程度でも充分に周囲に届きますので、「お気になさらずに!」ということで。ハイ、解決ね!(笑)
◆モスキーノ『アイラブラブ』
上記『モスキーノ・ライトクラウズ』と同じシリーズで、オレンジ系フローラルの香りをしている『モスキーノ・アイラブラブ』という香水もかわいい。
“120%フルーツ・ブーケ交際”
というコピーが瞬時に浮かんだのですが('80年チックな語感でキメてみました(笑))、これは、フルーティーすなわち果香と、フローラルの花香が、楽しく会話をはずませているような、そんな明るい午後の空気のようなこの香水をめでて詠んだ(?)コピーでございます。
このアイラブラブは、柑橘の中でもオレンジの香りが一番目立つように思います。そのオレンジの陰で、甘さがむやみに広がり過ぎないようコントロールしているのが「シナモン・リーフ」の香りです。香り全体がダレないよう律する働きと、あと、嗅ぐ人にナメられないよう監視する役目、『見張り役』ですね。…嗅ぐ人がどんな態度に出るか、ってね。(笑) 木の陰にこっそり隠れてジーッとこっちを見てるんだよ、この香水の中でシナモンリーフはつねに人間を見張ってる。(調香師さんは全然ちがう意図でシナモンリーフを使ってると思うけど、私にはそう見える。(笑))
シナモンリーフ。
シナモン(=肉桂、ニッキ)の葉の香りです。
皆様おなじみの「シナモン」は料理でも多用されますが、あれはシナモンの木の樹皮を乾燥させたものが多いです。香料の分野でも、シナモンの幹の部分から採取される精油は、シナモン「バーク」というふうに、シナモンリーフと区別するためにバークをつけた言い方をする場合があります。一般的に「シナモン」とだけ書かれている場合は、おそらく92%くらいの高確率でバークのことを指していると思います。
では、リーフとバークで、香りの違いはどうか?
東北弁と関西弁くらいの違いです。
同じ「日本語」という言語を細分化すると、パーツごとに微妙に違う。というふうに、同じ「肉桂」という植物の香りを細分化すると、シナモン・バークの香りとシナモン・リーフの香りに分かれて存在します。
バークのほうは、皆さんもご存知だと思います。ニッキ飴とか八つ橋のような、シャープな刺的感触をともなう香りです。
リーフのほうは、バークの香りにサフランライスとインドカレーをひそかにプラスしたような香りです。(←この説明、OKですか?(笑))
バークに比べてリーフのほうは、香りの表情が若干ふっくらとしていて、許容感?とでも言いましょうか。なんか精神的に許してもらってる感触のある香り。それでいて、アジア料理っぽい匂い。アジア的な複雑さをはらんだ香りなのです。
モスキーノ・アイラブラブを店頭で初めて嗅いだとき、このオレンジとシナモンリーフのバランスが印象的でした。
店員さんに「いかがですか?」と顔をのぞきこまれてコメント求められたので、
「オレンジと…ほのかにシナモンリーフみたいな香りがあって、素敵な香りですね♪」
と明るく感想を伝えました。すると店員さんは「え?シナモンなんて入ってたかな?」と言いながら商品の詳細がメモられた紙を見、「ええと…シナモンは…あ!ほんとだ!すごい!!!シナモンリーフって書いてあります!!え?どーしてわかったんですか!?」と驚いてました。「シナモン」どころか「シナモンリーフ」と精密に言い当てたのでビックリ不気味な客だったと思います。私もなんとなく適当に口にしたのですが、偶然それが当たっていたらしい。(笑)
店員さんに「どうやって嗅いだらシナモンリーフとか細かい香りまで嗅ぎ分けられるんですか?」と質問されたので、プロの方に向かって失礼かと思いましたが、私のほうから自分なりにつかんでいるコツをご説明させていただきました。
コツは、
「オレンジを支えているものは何なのか?」を考えることです。
この香りを陰で支え補強しているものは何者なのか。
プラスマイナスのバランスをとるために配合されているものは何者なのか。
“おかげさま”という素晴らしい日本語があります、まさにそんな感じです。活躍する人物を見て「この人を陰で支えている存在は何者なのか?」という気配を探るのです。そうすると、周囲の香りスタッフ陣が見えてきます。
といっても、たいていの場合は、香りの成分が一つ一つバラバラに表れることは少なくて(というか、そういうバラけた構成のものは、香水としては低評価といわれることが多いようです)、香水そのものの香りは、ひとかたまりに見えるように作られているのですが、それをルーペやサーチライトのごとく拡大したり照らしながら嗅ぎ探ります。なんか捜査してるみたいだけど(笑)
普段つける時は、もちろん、そんな嗅ぎ方はしていませんよ☆
◆こういった内容のフレグランスに関する私の話を連載させていただいていた『香水屋さん』という携帯サイト様が、このたびリニューアルなさるそうです☆
私の連載は終了とさせていただきました。今後はこちらのほうで昔のように書かせていただこうと思います。
香水屋さん(コスメ屋さん)をこれからも皆さんで一緒に応援していきましょう☆