この季節、受験生の方や、就活の方から結果報告のおたよりをいただいたりして、ああ春だなあ…と思います。
この先どこかお仕事の場などで皆様とお会いすることができましたら光栄に存じます。
■学習塾の思い出
私なんて、自宅まで車で送迎してくれて、しかも授業後おやつが出てくるという、託児所のような「学習塾」に中学生のころ通ってたから・・・(笑)おたよりを下さった皆様とはレベルが違いすぎます。
家庭教師とか普通の学習塾(進学塾のような)に通っている子が心底うらやましかった。「普通の塾」ってカッコイイ。
私が行っていたその塾は、塾といっても先生(塾長)の家に生徒が集まって話を聴くだけです。普通の家なので、そこで飼ってる犬や猫もいて、授業後おやつ時間ともなれば犬や猫たちと遊び放題です。じゃれたりなんかして、のんびりタイム。
どこまでも子供扱いな塾でしたが、やっぱりそれは心地よくてねぇ…(遠い目)ぬるま湯からなかなか出られませんでした。子供扱いされくたくない!って口では言っても、やはり幼児なので、甘えん坊ハウスがちょうどよいのです。
授業中、「先生、今日のおやつは何ですか?」なんてふざけた質問しても許されちゃう。それどころか「おやつは授業後がいい?それとも授業の途中(真ん中)の休憩に食べるのがいい?」って、むこうからわざわざ聞いてくれちゃうくらいだから。
そう聞かれれば「途中でお願いします!」と迷わず答えてました。早く食べたいからね。…まったく、朝三暮四の猿かっての。先に、たくさん、食べたい。
生徒も3人くらいしかいなくて、私以外の生徒がサボれば、即、個人指導体制になってしまいます。(月謝はとても安かった)
それで授業では、基本的に、問題を一問解くごとに「すごいねえ!」って先生にしっかりと熱く褒めてもらえます。(笑
それでも塾なのに勉強はあまりせず、たいていはムツゴロウさん似の塾長の話をいつも聴くばかりで、その話のテーマも、
「芥川賞について」とか、
「仕事・作業のすすめ方」とか、
「芭蕉について」とか、
「芥川龍之介と志賀直哉」とか、
おやつを与えられる子供にしてはかなりシブめな内容でした。というか高校受験生レベルをも飛び越えた大人向けの話です。(超子供か超大人かの両極端)
塾長のお話を聴いた後に、その内容をレポート用紙にまとめて提出しなければならないので、けっこう頑張りましたよ。(変なところで努力を強いられた)
自分で言うのもあれですが、私は塾長に結構気に入られていたと思いますね。…まあ、たった3人中の1位ですけど。
(手いたずらをせずに先生の長話が聴けたのは3人中で私だけだったそうで、そんな子供じみた理由で褒められても…、って思ったけど、何であれ褒められればやっぱり嬉しい幼児(笑))
たまには塾っぽく「模試」なんかもやるんですけど。
間違えている所があると、
「この問題、もう一度よく考え直してごらん」って塾長が警告してくれちゃうので、いつだったかそれで偏差値「70」とれちゃったことがあって(汗)罪悪感で誰にも見せられませんでした…。
塾の名前も、人に言えない感じで。
『早稲田塾』
…これ言えないでしょ?(笑)託児所なのに“早稲田”なんて、名前だけ「勉強できる人」みたいな。いっそのこと『東大塾』にしちゃえばいーじゃん?て。そうしたらば塾長いわく、「私は早稲田大学出身で、東大には入れませんでしたから、それだと嘘になってしまいます」と、まことに誠実な返答が。
ムツゴロウさん似のその塾長は、私たちを車で送迎してくれるのはありがたいのですが、坂道の途中でいきなり「ガス欠」になったり、かなり危ういのです。(みんなで車を押したり)
免許証・不携帯で警察に連行されたことも。
(夜遅くでしたが、「長くなりそうなのでキミたちは自力で帰りなさい」とその場で急きょ解散になりました)
逆に危険です。
・・・こんな調子で勉強をほとんどしていませんでしたから、
「高校に行かれないかもしれない」と本気で将来を覚悟しました。
――当初、「頼むから塾に行かせてくれ」と両親に懇願したんです。
塾でいろんな子と仲良くなれたら違う学区の中学の子たちとも友達になれて楽しそうだな、と思ったから。それだけの目的です。
当然ながら両親には、
「おまえは絶対に勉強しないから、塾へは絶対に行かせない」と“絶対に”を何度もつけて厳重に断られました。
バレちゃあ仕方ねーな。とあきらめていたら、クラスメイトのお母さんが、「いい塾があるの」と言う。
そこだったら安心だから、紹介するわ、と言って、うちの両親を説得してくれたんです。「うちの子(クラスメイトのその子)と一緒に通わせましょうよ」と口説いてくれました。神様だと思いました。
それで、その塾が、上記の塾になります。
期待外れでも入ってしまった以上、これで私が「やめる」なんて言ったら「だから言っただろう!」と両親に袋叩き…ああ困った…。
さらには紹介してくれたクラスメイトのその子も2ヶ月ぐらいでさっさとやめてしまったし。
(「オーマイガッ!」(笑))
私は頭をかかえました。
学校でクラスの友達が、「ササモトって、誰も知らないすごい変な塾行ってるよね!」「どうやって見つけたの?そんな塾」って笑って言ってくれると、なんだか自分も愉快な気分になって、一緒になって爆笑してましたけど、次の瞬間、やっぱり笑ってる場合じゃないや…。と暗雲がたちこめたり、情緒不安定で心は忙しい。(笑
困りながらも、ぬるま湯につかっていた私でしたが、
あるとき塾長が両親に「もっと上のレベルの進学塾へ通わせたほうがいい」と言ってくれたんです。
塾最後の日、残りの生徒の二人が(違う中学の子です)「元気でね」って手を振ってくれた時は涙が出ました。
塾長のおかげで奇跡的に冬期講習だけ「普通の塾」に通わせてもらうことができました。(もうギリギリの時期になって)
おかげで、なんとか高校へ入学することができました。本当にありがたいことです。
・・・とまあ、子供だったので、ちょっとしたことですぐに頭をかかえて一杯になってましたねー(笑)何かっていうとすぐに切羽つまる。
でも学校に行けば「昨日は(塾で)何の話聴いたの?」なんてクラスの友達が笑って聞いてくれるから、ネタになっていいかなあ、なんて。そこらへん軽く考えてもいた。
受験シーズンて、みんな「(私のように)勉強してないヤツ」には警戒することなく心を開いてくれるんですよね。それが私は何より嬉しかった。
この塾の他にも似たような経験がいくつかあり、以来、他人のことをうらやましがることは少なくなりました。
他人をうらやましがって真似ようとすればするほど、そこから遠ざかった環境に連れ去られる、らしい。…定め?(笑